百年麦酒は、2018年の日本ビアジャーナリスト協会主催「世界に伝えたい日本のクラフトブルワリー」においてグランプリを受賞した。ビールの商品開発については、少しアプローチが違っていた。
コンセプト重視の商品開発
ベアレン醸造所では、2016年にこのビールの商品開発を始めた。通常の限定ビールとは異なる商品。ビールのスタイルを名前にしていない、「コンセプト」を前面に出した商品である。マーケティング的な分析を詳しく書くと、長くなるので「ざっくり」いうと「ベアレンの強みを全力で押しだしたビールってなんだろうな」というところで開発された。
100年前の醸造設備で何を造るのか?
ご存知の方も多いかもしれないが、ベアレンでは「100年前の醸造設備」を保有しており、それを使用してビールを製造している。おそらく、そんな醸造所は国内には存在していないので、この段階で「日本における、唯一無二のビール造り」と言える(言い過ぎかな)。そんな設備で造るビールは、やはりクラシカルなスタイルであれば有るほど、その性質を活かせると思っている。故に、
- 文献で探せる古いレシピ
- 他の醸造設備では再現が困難
- ベアレンの醸造設備で再現可能
という条件を満たしたビールをいくつかピックアップして選んだのが、100年以上前に世界4大ラガーとして人気を博していた「ウィーンラガー」というビールだった。
伝統へのチャレンジ
近年のビール醸造において、既存のビアスタイルの枠にはまらない新たなチャレンジが行なわれている。クラフトビールの業界においては、その傾向が顕著に表れている。時間軸という視点で見た場合、これらの近代醸造のチャレンジは―大袈裟にいってしまえば―未来へのチャレンジであり、一方でベアレンが「百年麦酒」で行っているチャレンジは過去へのチャレンジといえる。
百年麦酒は、すなわち伝統へのチャレンジであり、100年前の設備を保有するベアレンらしいビールといえる。
2021年4月5日 高橋司
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