ウルズスの商品開発「誕生の裏話」

すでに18回目の仕込みとなる冬季限定ビール「ウルズス」
創業年からのアイテムだけに、私(ツカサ)としては思い入れがある限定ビール。今回は、その商品開発について記憶をたどりながら書き連ねたい。

2003年の商品開発。当時は珍しい「季節限定ビール」

2003年12月に初めて発売となったウルズス。創業年のこの年、ウィンタービールを限定販売しよう、ということになっていたが、商品名までは決まっていなかった。
当時としては、珍しい「限定ビール」で、私(ツカサ)としては藁にもすがる思いだった。
(ちなみに私は中学水泳部で実家が農家だけに、この言葉にはリアルな必死さを感じる)
創業年のこの年は、とにかく色々な試練があり、心の底から何とかしないと、という気持ちでいっぱいだった。

商品開発の原点はテイスティング会。会話は約3ヶ国語。

当時は、「テイスティング会」という名前で定期的に商品開発会議を行っており、スタッフ全員が参加していた(といっても5人)。中でも最若手だった私(ツカサ)は発言機会が少ないがドイツ語が多少話せるため、ドイツ人の初代マイスターと話すことがあった。
ミーティングは基本的に英語と日本語。そしてドイツ人マイスターがたまに吐く暴言はドイツ語、という状況だった。(これについては会話ではない)

液種を決め、商品名を決める。今回は彼が言った一言。

テイスティング会は、輸入ビールをテーマに沿って飲むが、だいたい一人平均3リットルくらいは飲んでいたと思う。そうやってコンセプトと、中身を検討する中でアルコール度数の高い「ヴァイツェンボック」で決まる。
通常ならば、―ベアレンの場合はビアスタイル重視のため―、商品名からビールの中身が想像できるようにしてきたが、このビールについてはちょっと特別だった。

「クリスマス~にするか?」「それも、ちょっと違うかな・・・」という話がされているなか、おもむろにマイスターが
「ウルズス・・・」
といった。

謎めいた言葉。言葉の響きと意味で決定

彼は、自信満々。(いつもそうだったが、初代マイスターのイヴォは何かにつけて自信満々だった。頼りがいのあるナイスガイ、といえば聞こえは良いが・・・)
誰もが何の意味か全く分からない。少なくとも英語とドイツ語ではないような気がした。誰もが疑問に思っていると、社長の木村が聞き返すより早く、マイスターが言う。「ラテン語だ。ラテン語で『強い熊』の意味だ。」

(やっぱり!ラテン語なんて解るかよ!)そう心の中で突っ込みをいれる。しかしながら、ビールのスタイルを伝えていないが、響きがよく、ストーリーとしても悪くない。

「ウルズス」。あれから、18回目のウルズスが発売になる
濃厚な「強い熊」を味わっていただきたい。

2020年11月27日 高橋司

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