ベアレン クラシックについて(その2:味わいの評価について)

ビールの味わいについて、表現する場合、色、香り、甘味、酸味、苦味・・・・とそれぞれのカテゴリで「良い」「悪い」などの判断がされるのが一般的だ。そして、―とりわけビールにおいては―減点法でビールを評価することが多い。それらを踏まえて、ベアレンのクラシックの味わいの秘密と、一般的な評価について深堀りをしてみたい。

ビアスタイルは、「ドルトムンダー」

レシピの基になっているのは、19世紀に「4大ラガービール」として、その名を馳せた「ドルトムンダー」(ドイツの都市、ドルトムントで作られたビール)。当時のドルトムントはラガービールを醸造し各地へ輸出していた。作られていたのは、当時の輸送条件でも品質を保てる濃厚なラガービール。そのため高い評価を得て輸出され、結果的に「エクスポート」とも呼ばれるようになっていた。

IPAとの「輸出対策」の違い

すこし話が脇道にそれるが、IPA(インディア ペール エール)は赤道直下を通過しながら大航海時代に船で運ばれた。そのため保存対策として、抗菌作用のあるホップを大量に使用して製造していた。結果的に「苦いエール」として確立されたビアスタイルと言える。

一方、同じ輸出されたビールでも、ヨーロッパを中心に輸出されていたドルトムンダーは、全体的なエキス分の濃度を上げることで保存性を高めていた。これは、ビール文化の違いであり、世界最古の食品衛生法として知られる「ビール純粋令」にも、時期によっては濃厚なビールを仕込み高く販売してもいい、ということが記載されている。

ちなみにいうと、その名残が、暑い時期を越すためのビールは濃厚に仕込む、という「メルツェン(3月ビール)」である。

苦味の数値について

最近では、クラフトビール人気で、特にIPAというビアスタイルが確固たる地位を確立しているが、それと同時IBU(国際苦味値International Bitterness Units)を使って苦味を数値で表すことが増えてきたように思う。実際に、数値化されるとわかりやすく、IPAのようなビアスタイルでは、比較がしやすい、といえる。

一方、ドイツスタイルのような、そもそもの麦汁のエキス分の濃さに大きな違いがあるビアスタイルにおいては、数値が実際の味覚とリンクはしない。(ちなみに、クラシックは23。大手のラガービールは16程度と言われているが、特別に苦い、とは感じないだろう)

要するに、苦味は、香りや甘み、酸味との包括的なバランスで、感じ方が大きく異なる味覚であり、「成長する感覚」のため個人差も大きい。そのために、数値はアテにならないケースが多いのである。

ドイツビールの評価は、文化的には「絶対評価」。

品評会などでは、ビールに優劣をつけなければならない。そのため、ビアスタイルを固定して、カテゴリごとに「減点法」で評価することが多い。しかしながら、固定された枠が正しいとは限らない。オラが街のビールが一番だ!という人たちの長い歴史と「飲まれ続けてきた歴史」は事実としてあり、それに対しては優劣をつけることはできないと思う。ゆえに、絶対評価と言わざるを得ない。

仮に、ベアレン クラシックを品評会に出したら、どのように評価されるだろうか?

きっと減点されて、バツをつけられるのがオチだろう。品評会の評価も気になるが、絶対的な評価を頂いている方々のそれは特別だと思う。ベアレンク ラシックは、私達にとってそういうビールだと考えている。

2020年12月28日 高橋司

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