2024年1月28日から2月2日まで、南ドイツ現地3泊4日の日程にてスタッフ4名で海外研修へ行ってきました。 今回はその第三回。
前回の記事はこちら→
海外出張報告1「シュナイダー醸造所の直営レストランWeisses Bräuhaus」
海外出張報告2「地元ミュンヘン最強のブランド『アウグスティナー醸造所』」
海外出張報告3「世界最古の醸造所「ヴァイヘンシュテファン醸造所」に潜入」
「ビールの首都「バンベルク」の変化」
最終日は、ビールの首都(地元ではそういう意識です)バンベルク。
まずは精麦会社の「ヴァイヤマン(Weyermann)」に工場見学に伺いました。
1879年に小さな焙煎ドラムから始めた精麦工場ですが、創業者のヨハン バプティスト ヴァイヤマンが特殊モルト(ローストモルトなど)に特化した工場を建設し約20年で今の基礎を作り上げました。しかも、当初から鉄道輸送の将来を見据えてバンベルク駅の裏に広大な土地を購入して規模を拡大していったそうです。いやはや、、、いまでは世界中に麦芽を輸出しておりますが、ありとあらゆる製造方法を試験、検査できるように、ビール製造設備はもちろんのこと、木樽熟成のための貯蔵庫や蒸留器、当然ながら瓶詰め機まで完備していました。(圧巻です)写真でお見せできないところが多かったのですが、個人的にはブランディングも素晴らしいと思いました。
商標の鬼
ちなみに、、、世界中に輸出しているヴァイヤマンですが、第二次世界大戦後に精麦できなかった期間がありその間に、アメリカに商標をとられたアイテムがあったそうで、、、いまでは世界各国で商標をとりまくり「商標」だけで1室の壁一面が埋まるくらいありました。(日本語もあったよ)
10年前にくらべて、クラフトビールの人気と共にヴァイヤマンの精麦規模は拡大しており、バンベルク駅裏の敷地では追いつかなくなり、車で10分程行った先に更に広大な土地を購入して倉庫を建設したそうです。
【とにかく広大な土地です。麦芽のみならず、天然色素なども造っています】
新しい息吹の光と影
次に向かったのは、バンベルク市内のBrauhaus Zum Sternla。2019年創業だが、古い外観とクラシカルなビアスタイルで、地元で人気のお店。ビールの伝統の街バンベルクでは本当に頼もしい存在です。ビアスタイルはエクスポートとメルツェンの2種類のみ。製造は最新の設備を使用。ヴァイヤマンのスタッフも激推しのBrauhaus Zum Sternlaだが、ビールもさることながら「古いコミュニティスタイル」を大切にしている店作りが地元っ子には受けているようす。一方で、新しいブルワリーでもIPAなどを製造しているところもあるらしく。。。衝撃的なのは、こういった「クラフトブルリー」で製造している人がマイスター資格をもっているとは限らない、ということだそうです。地元のビール通の友人に聞くと、「マイスター資格が無くてもホームブルー感覚で作れてしまう。しかも観光客は『造り手がマイスター資格をもっているか』はわからない。この問題は由々しき事態、、、なんだよね。」と嘆いていました。
【Brauhaus Zum Sternla。小さな設備だが、最新設備ながら伝統的なビアスタイルを造っている・・・料理はフランケン地方の伝統料理。量が多い。】
変わらない景色と文化
この後、郊外にあるホーン醸造所、ドライクローネン醸造所を訪問。15年前に訪問した記憶をたどりながら、変化を見つけては一緒にいったスタッフと旅を振り返りビールを堪能しました。この2つの醸造所も一部改装が合ったものの、醸造設備は大切に使い続けていました。(片方は薪を熱源に仕込みをしている!)どちらの醸造所も昔ながらの「宿泊施設併設の醸造所」。SNSの発達で世界中に拡散され、のどかな景色に囲まれたこの地へ訪れる方も昔より多いらしいです。
【ホーン醸造所の釜の写真(ベアレンと同じ感じですね)右はドライクローネン醸造所のレストラン。伝統料理はボリュームが多い】
受け継がれるビール文化と誇り
今回の旅を振り返り、変わらないもの、変わっていくものが見えてきましたが、年配の人ほど「ビールはドイツの大切な文化」という意識が強いように思います。
海外研修旅行、その後・・・
私達が旅を終えて日本に戻り、会社に出社すると、バンベルクの友人フランクからメールが届いていました。そこには、ビールマニアの彼らしく、クリスチャン・フィードラー著「ビールの首都」の「Baerenbaei(ベアレン醸造所)」のページを送ってきくれていました。メール本文は他愛も無い内容でしたが、資料にはバンベルクのベアレン醸造所が1447年から1906年まで約459年間続いた歴史が綴られていていました。(1906年?・・・僕らの仕込釜が造らた年代と同じじゃん)
【画像のみ転用。クリスチャン・フィードラー著「ビールの首都」より】
バンベルクのベアレン醸造所が廃業した年代の仕込釜を、日本の私達が使い続けているのは偶然ではありますが、この研修旅行を通じて「いつの日か歴史の本に残るような醸造所になりたいな」と思いました。この海外研修をこれからのベアレンに活かしていきたいと思います。
2024年3月5日 高橋司
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