毎年5月になると「周年記念」ビールとしてケルシュタイプの「コローニア」を発売する。今回は「周年記念」「コローニア」の2つについて発売当時の記憶とともにご紹介する。
ベアレンが2003年に初めて製造したビールが「コローニア」
初代マイスターのイヴォの出身の近く、ケルンで作られる「ケルシュ」。このビールは、現地では200mlのグラスで何杯もおかわりして飲む。何杯でも飲めるドリンカビリティと地域性を強く感じさせるビール文化をもったケルシュは、まさにベアレン醸造所の哲学にピッタリはまったビールだった。そのため、フラッグシップとしての位置づけにしたビールだった。
なぜ「ケルシュ」ではなくて「コローニア」か?
ケルシュは、ビールには珍しく呼び名を法律で保護されている。はじめは、ビールのスタイルだけを指していたが、ドイツ連邦裁判所で地理的にも指定。現在はケルンの醸造協会によって策定されたケルシュ協定(Kölsch-Konvention)によって厳密にスタイルも定義されている。つまり「原産地呼称」として保護され、尚且スタイルも厳密。ゆえにドイツでマイスター資格を取得している醸造責任者を置く会社などは、「ケルシュ」という商品名を使わず、別の名前をつける。ベアレンも当然ながら、ケルシュではなく、コローニアという商品名で発売をしている。
2003年、ベアレン醸造所の登場と、渾身の初仕込み「コローニア」の衝撃。
当時、地ビールブームも下火だったためか、あまり国内で目立ったインパクトを残していないが、地元の盛岡市内だけは少し違っていた。お披露目会を行ったが、とにかくドリンカビリティが高く、飲み飽きず何杯でも飲めてしまう。参加された方が約100名。400L以上消費していたので、一人あたり4L以上も飲めてしまったわけだ。いま思い返しても信じられないくらい、地元の表現で言うところの「飲まさる※」ビールだった。※飲むことができてしまう。(ビールに)飲ませられる、という受動的な表現
毎年、原点に立ち返る「周年記念ビール」
2003年の衝撃の登場と共に、盛岡の飲食業界でも噂が広がったが、当時は定番ビールとして継続的に製造できず終売となった。しかし、他のビールにはない、まさに圧倒的なドリンカビリティで創業時の「初仕込みビール」として記憶に残るビールとなったコローニアは製造再開のリクエストが多かった。そのため、限定ビールとして毎年5月の創業月に合わせて限定販売することになった。
現在では、毎年変わるラベルデザインも人気で、コレクションする人もいる。デザインは地元岩手に関わりのある方ばかり。今年は、地元の幼稚園児が描いた熊の絵を専門学生がデザイン。ラベル作成自体を地域密着のものとした。地元密着で飲まさるビール。気になる方は、売り切れる前に是非飲んでもらいたい。
2021年5月15日 高橋司
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