パンプキンウィート ウィズ 3スパイシーズ

先日、ハロウィン向けのかわいいラベルのビール

「パンプキン ウィズ 3スパイシーズ」が発売された。

2017年発売当初から変わらぬ可愛いラベルで、ハロウィンを想起させるが、実際の味わいは全く奇をてらわない「超正統派」のベルギースタイルのビールと言える。

見た目は子供。中身は大人。

使用している原材料に「パンプキン」が含まれている。

実際に仕込みの際は、煮沸釜に投入され糖化(デンプン→糖へ)されてしまい、その後、アルコール発酵されるので、甘くはない。

また、かぼちゃの香りは、使用されているスパイスでスポイルされてしまうので、その香りはそれほど強調されることはない。

先に結論。コンセプト重視だが、ベアレン的には美味いビールしか作りたくない。

明らかに、「ハロウィン向け、パーティ需要」をターゲットにしているが、ビールのバランスを考えてスパイスを加えたベルギースタイルのウィートビール(小麦ビール)に仕上げている。これはベルギーに多く存在するビールのスタイルであり、決して「変わった」ビールではなく、むしろ歴史的には主流のビールだったと言える。

(この話は長くなるので、別の機会にします)

スパイスビールは、何のスパイスを使用するか?でブルワリーの意図が分かる

主に、ベルギービールで使用されるスパイスは、オレンジピール、コリアンダーなど。また、ブルワリーによっては、アニス、クミン、カルダモンなども使用される。スパイスが個性としてビールの味わいに存在感を出すことはたまにあるが、やりすぎると何だがよくわからない味わいになる。行き過ぎると「クセがあるよね」の一言で片付けられ、飲めない味わいになってしまう。

一方、世界的に高評価を得ている伝統的なブルワリーでは、バランス重視でスパイスをホップの香りの補助的な立ち位置に使用したり、全体のアクセントとして「脇役」としての演出をするケースが多い。

では、翻ってパンプキンウィートでは、どんな使用方法をとったのか?

オレンジピール、コリアンダーでホップの香りの補助、ロースト麦芽、パンプキンフレークから感じられるトースト、ふくよかなイースト感、ほのかに感じる上面発酵特有のエステル香、完熟した果実香、それらをオールスパイスの香りで、全体的なまとまりを構成している。

冒頭に「超正統派」と書いたが、スパイスビールに王道があるのか?と問われると、実のところ答えに困ってしまうが、このビールについては、歴史上のスパイスビールの系統を汲んだバランス重視のビール、ということだけ自信をもって言える。

2020年9月14日 高橋司