ドライシードル

2022年秋、「ベアレン ドライサイダー」が「『Our Hour』いわて果実の微発泡ワインシリーズ」としてリブランディングされ、「ドライシードル」として販売されている。

サイダーとシードルについて

どちらもりんごのお酒。シードルはフランス語圏の呼び方ということになる。

ベアレンでは、イギリスでエール文化とともに歩んできた呼び方の「サイダー」のほうを商品名として選択し、2004年から製造販売してきた。

なぜ、「シードル」にしたのか?

リブランディングのタイミングで、なぜ「シードル」に名前を変えたのか?と聞かれることが多かった。いくつか理由があるが、中でも大きかったのは、日本国内において「シードル」がりんごのお酒として広く認知されていることによる、商品の「伝わりやすさ」だった。

シードルで伝えたかったこと

日本国内においては、「サイダー」にソフトドリンクのイメージが強く、「りんごのお酒」として伝えることが困難だった。一方、「サイダー」にはイギリスのパブ文化で育まれてきた歴史もあり、ベアレンとして「サイダー」の名前をリスペクトしていた大きな要因だった。

それを失ってまで、「シードル」に変更した理由は「伝わりやすさ」だけだったのか?

ベアレン醸造所が製造する「果実シリーズ」のすべてが岩手県の原料を使った果実酒であることから、エール(ビール)文化的な意味合いが感じられる「サイダー」より、農産物的でワイン文化的な意味合いを伝えることになる「シードル」という名前に変えていく方が、カルチャーの面からもしっくりしたリブランディングと考えていた。

地元で造る意味

シードルは、フランスのワイン文化の思想の一つ「テロワール」の考えを内包しているように感じる。テロワールは、その土地の環境要因から生まれる個性とも評され、農産物を語る際に使われる言葉で、ワインやシードルの味わいや特徴の表現に使われることが多い。

ビールとワインを原料面から比較するとわかりやすい。

ビールの原料は、麦芽、ホップ、どちらも保存可能、流通が容易になため世界中で、年中製造が可能なので「工業的、技術的な要因」が大きい。一方ワインやシードルは、その土地で造る葡萄、林檎といった水分を多く含んだ果物が原料のため、流通が難しく、製造も年に一回(収穫時期)に左右されるため「農産物的な要因」が大きい。

地元岩手から発信

つまり、サイダーからシードルへのネーミングを変更した意味は、「ベアレンとして地元で造る意味」を重視した結果とも言える。土台となっている「りんごのお酒」に対するリスペクトは変わらない。

重要なのは、多くの人に世代を超えて飲んでもらいたい、ということだと思う。

ブランドメッセージを「1人」から「2人」へ

発泡性果実酒の多くは750ml瓶だが、実際に家庭で飲む際にはある程度の覚悟が必要となる。330mlのボトルのサイズ感を逆手にとり、気軽に、カジュアルに、飲んでもらいたい。楽しい「私達の時間」を過ごして欲しい、という願いを込めて「Our Hour」とうメッセージになっている。ブランドコピーには、商品開発に関わった若いスタッフの発想が込められ、日本語の同音異義語「泡あわ」を掛けている。

お酒の文化は飲む人がいて、初めて受け継がれると思う。

ビールもシードルも、若いスタッフが作り、次の世代に飲み続けられるものだと思う。このドライシードルは、その一歩を踏み出した商品になってほしい。

『Our Hour』いわて果実の微発泡ワインシリーズのブランドページはこちら

2023年6月17日 高橋司

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