ドライサイダーについて(その1)はこちら
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ベアレン醸造所では、度々果実を使用した、ビール、発泡酒、果実酒を製造しているが、最も製造増量が多いのが、ドライサイダーだ。農産物的な要素が強く影響するドライサイダーの「今年の魅力」を深堀りしたい。
2021シーズンの仕込みは1ヶ月前倒し。その意味とは?
本来であれば、1年間分のドライサイダーを秋から冬に掛けて仕込むが、2021年シーズンは9月上旬から仕込みを始めている。これは、2020年の新型コロナウィルスの感染拡大による市場の変化が大きく影響しているためである。
どんな影響だったのか?
ざっくり言ってしまえば、人の移動が制限されたため、地域の特色が出るドライサイダーが「お取り寄せ」として選ばれやすかった為だろう。事実、ネット通販、ふるさと納税等で選ばれ、2021年のりんごの収穫を前にドライサイダーは完売してしまった。
極早生品種のりんごを初めて使用
早く収穫できる「極早生」と呼ばれるりんごを使用し、2021年初仕込みは1ヶ月前倒した。初めて使用したりんごは、酸が弱いのが特徴で、発酵がすすみ、糖がキレてアルコール度数が上がると、淡く上品なバランスの味わいになった。
これは香料や酸化防止剤(ビタミンC)などを使用していないためで、多くのシードルとは異なり、ドライな味わいで、りんご本来のポテンシャルがむき出しになっているような味わいの印象となった。
今年は4ヶ月間継続的な仕込み
今年は極早生品種から使用し、収穫時期に合わせて早生(わせ)、中生(なかて)、晩生(おくて)と品種が混在しながら仕込みをしていく。その為、前半の味わいと後半の味わいとでは、異なってくることになる。つまり、今リリースしている「ドライサイダー2021」と、この先リリース予定の「ドライサイダー2021」でロット差が生じる。
リンゴが農産物だからこそ、味わいの差が発生するわけで、ビールにはない魅力の一つと言える。
生産者の皆さんとの協力で造られている
ベアレンのドライサイダーは、岩手県内の多くの生産者に協力してもらい、原材料を確保させていただいている。収穫しているリンゴには、それぞれのストーリーがあるに違いない。生産者が(残念ながら)加工用にせざるを得なかったリンゴを、ベアレンがドライサイダーとして製品化させてもらっている。それが故に、私達は地元の誇りをもってこの商品の魅力を伝えていかなければならない。
2021年11月9日 高橋司
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