シュバルツはドイツ語で「黒」を意味する。したがって、日本語訳すると「黒ビール」ということになるが、この言葉のとおりに分けてしまうと、少々大雑把な感じがする。この分類の仕方によって、いままで「大きな誤解」を受けてきたビールのように思える。
リリース当時の背景
2003年創業年、ベアレンでは、ドルトムンダーの「クラシック」とベルギースタイルの「ヴィット」を定番ビールとして販売していた。創業から約半年間2アイテムだけの販売だったことになる。そんな中、初代マイスターのドイツ人のイヴォが「シュバルツ造ったから」という話で商品化が始まった。
当時は、黒ビールといえば「ギネス社のスタウト」が一般的で、黒ビール=スタウト
というのが世の中の認識だったのではないだろうか。
当時、催事でテスト販売をしたときには、まさに「飛ぶように売れた」という言葉がピッタリの売れ行きだった。試飲することで、お客様に与えたインパクトは購買意欲をそそるには十分だった。そのインパクトとは、真っ黒な見た目から想像する「ギネス社のスタウト」の味わいと真逆の軽い飲み口のラガービールだったのだ。
「黒」にも色々ある
黒ビールと色だけにフォーカスしていた当時の分類の中でも、ドゥンケルやスタウト、ポーターなどの黒いビールがあり、それらを十把一絡げにしてしまうことで、「ああ、ギネスと同じスタウト系ね」と一刀両断されることが多々あった。そのため「シュバルツ」は色で味わいを想像されやすく、また誤解も受けやすいビールといえる。
見た目と異なるギャップ。だからこそ惹かれる。
ギネス社のスタウトが世界中に植え付けてきた「黒いビール」の味わいの刷り込みは強烈で、そのため一度でも飲んだことがある人は「黒=スタウト」というイメージがある。私が店頭で試飲販売をしてきた時は、「苦い」「飲みにくい」「チビチビ飲む」「通好み」という言葉で評された。しかし、シュバルツは、これらの真逆をいくビアスタイルといえる。ゆえに、一度飲むと、そのイメージとのギャップに驚き、ポジティブな評価をいただく事が多い。
飲み続けることができる「黒ビール」
あえて「黒ビール」と表現したが、シュバルツはホップの苦味を抑えロースト麦芽の芳ばしい薫りを引き立たせてバランスをとっている。ラガー酵母で造るため、スッキリとしていて軽やかな飲み口だ。色は黒でも爽やかな黒ビール。見た目は同じだが、全く異なるスタイルのビールが世の中には多く存在している。
どうか、飲まず嫌いにならず、ぜひチャレンジしていただきたい。
2021年7月30日 高橋司
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