~ドルトムンダーが選ばれた理由~
今年、ベアレン醸造所が創業20年目を迎える。
改めて、クラシックの魅力、その原点などをお伝えしていきたい。
「世界4大ラガー」と呼ばれた古典ビール
19世紀初頭に世界4大ラガービール、と評されたビールがある。
・ドルトムンダー
・ババリアラガー
・ウィーンナーラガー
・ボヘミアンピルスナー
※すべてビールのスタイル。
これらのビールは、当時高い評価を得られたラガービールの代表作。この中で、淡色麦芽を使用したラガービールは、ドルトムンダーとボヘミアンピルスナー。どちらもラガービールだが、ドルトムンダーは輸出用に作られていた濃厚なラガービールで、ピルスナーは地元メインで飲まれている比較的ライトなビール。どちらも味わいには特徴があり、「クラシック(名作)」と呼ばれるに値する。
「中間球」的思考
少し20年前の説明をすると、2003年はいわゆる「地ビール」ブームが下火になり、小規模醸造所は廃業していった状況。「地ビール=キワモノ、癖がある、まずい」という時代の評価の中で、ベアレンが一番目に考えたのは「中間球」という思考だった。
醸造所が作るビールは「飲み手が受け止められる範囲」でリリースする。
つまり、野球で例えると、豪速球でもなく、魔球のようなカーブでもない。速球ではないが、「球威がある」「ストライクゾーンのカーブ」といった、「受け止められる」とうのが大前提となっている。
そう考えると、ドルトムンダーは、かつて輸出向けに設計されたレシピの重厚なラガービール。一方、ボヘミアンピルスナーは淡色且つ軽めの飲み口のため、同じラガースタイルでも、ドルトムンダーのほうが、ボヘミアンピルスナーに比べて、より球威のある「中間球」といえる。
ベアレンが選択した「クラシック」
だから、ベアレンの「クラシック」として選ばれたのは「ドルトムンダー」だった。
ベアレンが変わらず大切にしているフィロソフィーを具現化しているのが、ベアレン「クラシック」。
2003年から20年間で多様化しているクラフトビールの業界において、未だにベアレン「クラシック」は中間球的な位置づけとなっている。豪速球ではないが、受け止められるファンが増えている。受け止める人が多くなれば、いつの日か、「中間球」は「普通球」になるのだろうか?
その答えは、今はわからない。
ただ、100年以上続くこの名作の歴史を、僕らがこれからも繋いでいき、僕らの子供や孫が、判断してくれることになるだろう。
2023年4月4日 高橋司
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