菜園マイクロブルワリー誕生の背景

「つなぐビール、その後」の前って??という方へ、著書「つなぐビール」公式サイトをご参照ください。https://www.tsunagu.beer/

2016年、盛岡市菜園にあるクッチーナと一緒にやっていくことになり、新たなチャレンジがスタートしたベアレン。レストラン各店の個性をたたせ、クラフトビールの新たな楽しみを提案する場として広げてきたベアレン直営店。ここ、菜園クッチーナは盛岡初のマイクロブルワリー(ビール製造所付飲食店)にしようと模索が始まった。

ここに一つのグラフを紹介しよう。

これは私が、国税庁の酒のしおりにあるデータをグラフにしたもので国内のクラフトビール事業者数の推移を表している。日本のクラフトビールは、1994年の規制緩和により誕生した。従来の年間製造数量2000KL以上との要件が60KLまで引き下げられたためだ。

グラフでも1994年以降急激なカーブで醸造者数が増えているのが分かる。これがいわゆる第一次地ビールブームで、現在の多くの醸造所がこの時期に誕生している。

その後、2000年を超えたあたりから頭打ちになり、減少に転じている。その後がクラフトビールの苦難の時代で、緩やかに多くのクラフトビール会社が淘汰されていった。それが2018年になって、急激な伸長を見せている。直近では400社を超えたという話もあるのでまだその伸長は続いている。これは第2次ブームなのか・・・事業をしていてクラフトビールへの反応はここ数年、格段に良くなったと思うが、ブームとまでは感じない。

では、この伸長は何か。国税庁の資料ではその詳細はないが、私はマイクロブルワリーが増えたことだと考えている。皆さんも身近に小さなブルワリーが増えていることを実感していないだろうか。背景にはクラフトビールが浸透してきたこともあると思うが、小さな醸造設備やその情報が増えたこともあると思う。また、先ほど、クラフトビールは製造量の要件が下げられたために日本に生まれたと書いたが、それでも60KLは大きい数字だ。ベアレンのビンで18万本以上、飲食店に付随した小さな醸造設備では作り切れない。それではどうしているかというと、これらマイクロブルワリーは発泡酒の製造免許で製造されている。これだと製造量の要件は年間6KL以上となり、小さなブルワリーでも十分、製造できる。

発泡酒と言ってもほとんどビールと変わらないので(個人的には日本の酒税法においてビールと発泡酒に分けていることがおかしいと思っているが)、飲んでいる側からしたら関係ないのだが、このような背景で近年、マイクロブルワリーが増えている。

現在の菜園マイクロブルワリーは2017年秋に完成するが、この先鞭をつけた形となった。

クッチーナのテラス席をつぶし、排水設備や排気などの配管を行い、イタリアから200L仕込みの小さな釜の設備を入れた。本社工場が3000Lの釜なので10分の1以下だ。改装には「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(通称、ものづくり補助金)を活用し、約1500万円の投資のうち1000万円の補助を受けることができた。

こうして2017年10月、クッチーナは菜園マイクロブルワリーwith Kitchenとして生まれ変わった。盛岡初のパブブルワリーである。ちなみに正確には、店内の醸造設備がある場所は登録上はベアレン醸造所で、菜園ラボと呼ばれる第3工場である。お店側がクッチーナとベアレンで作ったベアレンクッチーナ合同会社の店舗で、分かれている。

こののち、この菜園マイクロブルワリーであまたのビール(正式には発泡酒)が生まれるわけだが、このお店でしか飲めない味わいに多くのお客さまが楽しんでいただいているうえ、ベアレンにとっても様々なチャレンジが容易になり、新しい素材や新製品の麦芽やホップの試作の場となっている。クラフトビールの楽しみを広げる一つの大きな場がまたできた。

ベアレンはこうやって新たな場を広げていくことで、クラフトビールのすそ野を広げていくのだと考えている。

ベアレン醸造所 専務取締役 嶌田洋一

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