ザ・デイ ジャパニーズ シトラスラガー

2022年5月、「ザ・デイ」シリーズに新しいビールが加わった。大分県産のかぼすを使った新しいスタイルのラガービール、なのだが、このビールのリリースには、いままでのベアレンの商品発表とは異なる打ち出し方をしている。今回は、商品開発から、商品にかける想いをお伝えしたい。

自分たちが飲みたいビール

メーカーの商品開発には2つの視点がある。マーケティングとプロダクトアウトだ。ざっくり、「売れそう」だから作るのか?「造りたい」から作るのか?ということだ。

今回の商品は明らかに「造りたいから」という考えがあった。ここ数年のコロナ禍における物流の停滞により、海外の情報はネットのみとなり、実際に飲める新規の商品は国産が多い。

そんな中、流行っていたのが「サワー系飲料」「ハードセルツアー」などだが、何故かビールカテゴリでは新規商品が少ない。果実を加えたビールといえば、伝統的なベルギースタイルの「クリーク(さくらんぼを漬け込んだビール)」か、ドイツスタイルの「ラードラー(レモネードを加えたビール)」くらいだろう。

前者は、どっしりとした味わいで、後者は軽い呑み口が特徴だが低アルコールで甘い。ビールの飲み手としては「ドライな果実ビールが飲みたい」と思っていたが、世の中にはなかった。

無いから作る。作ってわかる難しさ

実は、ベアレンでは以前から、この手のビールの開発を試みていた。過去にはレモンラードラーの「ドライ」バージョンを作ったこともある。しかし製品としてリリースするには至らなかった。(これについては一定の成果があったのだが、、、国産のレモンの入手が困難になったため断念した)

今回は、大分県産のかぼすを使用して「ドライで飲みごたえのある果実系ラガービール」造ろうとして、マイスターの宮木を中心とした商品開発が始まった。

ビールで造るのか、発泡酒で造るのか?

表示には造り手の狙いが反映すると思う。

ベアレンとしては、「ビール」のカテゴリで世の中に送り出したい、と考えていた。そのため「かぼす果皮」「かぼす果汁」のみで商品開発を行っていた。しかし、なかなか満足のいくビールまで到達できない。この段階で、実験的に「かぼすエキスを加えたらどうなるか?」ということでテスト醸造したところ、想像以上の完成度の高さで仕上がった。

しかしここで選択をしなくてはならなくなった。

「ビール」表記で造り手の意図伝えるべきか、「発泡酒」表記だが味わいを伝えるべきか?

味わいが先で、表記は後

結局、かぼすエキスを加えて「発泡酒」の表記で商品化することになった。これは、「基本に立ち返った」とも言える。やはり「飲みたいビールを伝えたい」「飲んでもらいたいビールを伝えたい」という想いがあったからだ。表記で伝わる情報より、味わいで伝わる情報のほうが比較にならないほど多い。

最後に補足情報として、かぼす果汁、かぼす果皮、かぼすエキス、どれも大分県産かぼすを使用。和柑橘(ジャパニーズシトラス)を使用している。国内外に自信をもって伝えたいラガー。ぜひ飲んでもらいたい。

2022年8月17日 高橋司

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA