イーハトーブの海

7月の限定ビールとして、「イーハトーブの海」という限定ビールが発売になった。
ベアレンで、「商品名≠ビアスタイル」の場合は、コンセプト重視の場合がほとんどだ。
このビールが何故リリースされることになったのか?一体どんな味なのか?

コンセプト重視の商品開発

このビールは日本財団の「海と日本プロジェクト」に賛同して商品開発している。
プロジェクト自体、あまり知られていないが、ざっくり言うと「海を未来につなげていく」という取り組みだ。(詳しい取り組みはこちら https://www.uminohi.jp/project/ )

海に面した岩手県の企業だからこそ

「地域密着」を創業当時から徹底しているベアレンだが、3.11(東日本大震災)から、岩手県内各地との取り組みを行うようになった。特に陸中の山田町との寄付金付きビールや、義援金付きのギフトセットの販売は毎年行っているし、北三陸の野田村との地域連携協定による交流は、イベントや商品開発にもつながっている。

特別な「塩」を加えたビール

イーハトーブの海は、ラガービールに塩を加えたベアレンオリジナルレシピ。
ビールの原材料に塩が加わっているビアスタイルの代表格として「ゴーゼ」があるが、このビールは乳酸による発酵もあるため、塩味が乳酸の中でバランスがとれやすく、独特の味わいを作り出している。一方でイーハトーブの海は、通常のラガー酵母のみでの発酵のため、塩によるバランスをとるのが難しい。入れすぎると塩っぱいし、少ないとよくわからない。
そのため、世の中に多く存在している精製塩ではなく、「のだ塩」を使用。ミネラル感がしっかりと感じられる塩のため、ビールに使用した際にツンとした塩気は無く、飲み終わりにほんのりとミネラルを感じられる味わいになっている。

「しずくいしホップチャレンジ」の信州早生を香り付けに使用

また、このビールのアロマホップには、岩手県雫石町の若手農家を中心に活動し、ベアレンも協力している「しずくいしホップチャレンジ」による信州早生という品種のホップを使用している。

サスティナブルであるために

ビール会社において「持続可能」とは、そもそも飲み続けられないと成立しない。色々な活動をしても、やっぱり美味いビールを造り、飲んでもらうことが大切だと思う。さらに加えるならば、ベアレンにとっては「インパクト」より、飲み続けられる「ドリンカビリティ」重視。とはいえ「ドリンカビリティ」で多くの人に知ってもらうのは難しい。ゆえに、地元の方との企画や商品開発も行っている。

この商品名「イーハトーブ」は岩手県出身の作家宮沢賢治の造語で理想郷を意味している。
「イーハトーブの海」が多くの人に飲まれることが、「未来にきれいな海が残ること」につながってほしいし、持続可能な社会につながってほしいと思う。

2021年7月12日 高橋司

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