ドライサイダーについて(その1)

なぜシードルと呼ばないのか?

最近では、「クラフトビール」という単語に加え「クラフトサイダー」という単語も耳にするようになった。最近注目度が高まっているサイダー。ベアレン醸造所でも「ドライサイダー」という商品名で2014年から毎年発売している。(当時の商品名はイングリッシュサイダー)

「結局、リンゴのお酒でしょ?シードルとサイダーと何が違うのよ?」

おっしゃるとおりだと思う。
何が違うのか?その液体だけに目を向けると、「同じ」としか言えない。
リンゴの搾汁を行い、発酵させている。シードルとサイダー、どちらもリンゴのお酒だ。
だけど、「ドライサイダー」としてベアレンは販売し続けている。

いったいなぜか?

一番の理由は、私達が「ビールの醸造所」だからだ、というアイデンティティがそこにあるから、だと思う。
英国のパブで飲まれるエール。
そして、そのパブ文化の中にエールと一緒に文化を作り上げてきたサイダー。
この古い歴史のあるパブ文化を支えてきたサイダーは間違いなくシードルとは違う。

文化へのリスペクト

サイダーの本場である英国では、サイダーはエールのようにパイントに注いで飲む。
出来上がったサイダーは、―時にはパブのオーナーが―、樽サイダー開栓から徐々に変化する味わいをコントロールし飲み手に伝えて楽しむ。
私達は、本場英国のそんな文化をリスペクトしている。だから「ドライサイダー」という名前であって、「ドライシードル」として販売していない、ということになる。

今年も、地元岩手県内の農家の方々が収穫されたリンゴをたっぷり贅沢に使ったサイダーが、ベアレン醸造所では作られている。今年の味わいも非常に楽しみだ。

2020年11月14日 高橋司

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